知人や親族から不動産を購入する、あるいは個人間で不動産を売却するにあたって、「そもそも不動産会社を通さずに売買できるのか」「自分たちで何をどこまで確認・準備すればよいのか」「仲介を利用する場合と何が違うのか」を、初めての方にもわかりやすく整理して解説いたします。
📋 目次
- 1. 個人間で不動産売買はできる?
- 2. そもそも「個人間売買」とは?
- 3. 個人間売買と不動産会社の仲介は何が違う?
- 4. なぜ不動産会社を通さずに売買する人がいる?
- 5. 個人間で不動産を売買する基本的な流れ
- 6. 個人間売買では「物件調査」が重要
- 7. 個人間売買で注意したいポイント
- 8. 個人間売買では「重要事項説明」はどうなる?
- 9. 個人間売買でも売買契約書は必要?
- 10. 個人間売買でも住宅ローンは利用できる?
- 11. 個人間売買なら仲介手数料はかからない?
- 12. 個人間売買のメリット・デメリット
- 13. 仲介手数料を払う=何にお金を払っているのか?
- 14. 個人間売買で実際に起こりやすいトラブル
- 15. 個人間売買を検討しやすいケース・専門家への相談を検討したほうがよいケース
- 16. 個人間売買と不動産会社の仲介、どちらを検討する?
- 17. 契約前チェックリスト
- 18. よくある質問(FAQ)
- 19. まとめ
1. 個人間で不動産売買はできる?
結論
個人間で不動産を売買すること自体は可能です。
ただし、不動産会社の仲介を利用しない場合は、物件の確認、売買条件の整理、契約書の作成、決済、登記といった一連の手続きを、売主と買主が自分たちで進める必要があります。
「個人間売買ができる」ということと、「簡単に売買できる」ということはイコールではありません。
不動産は高額な財産であるうえ、権利関係・法令上の制限・建物の状態など、確認すべき事項が多岐にわたります。
契約後に問題が発覚すると、解決までに時間や費用がかかることも少なくありません。
たとえば「知人が売りに出している3,000万円の土地を、不動産会社を通さずに直接購入する」というケースを考えてみましょう。
売買代金の交渉から、境界の確認、契約書の作成、決済、登記まで、不動産会社に仲介を依頼した場合にサポートを受けられることの多い、物件調査や契約条件の整理、契約手続き、決済・引渡しの調整などを、当事者自身で進める必要があります。
この記事では、その具体的な内容を一つずつ整理していきます。

2. そもそも「個人間売買」とは?
「個人間売買」とは、不動産会社を売主・買主の間に入れず、個人の売主と個人の買主が直接、不動産の売買契約を結ぶことを指します。
これに対して、不動産会社の仲介を利用する一般的な取引では、売主と買主のあいだに不動産会社が入り、物件調査・価格交渉・契約書の準備・重要事項説明・決済の調整などをサポートします。
| 取引方法 | 基本的な関係 |
| 個人間売買 | 売主 ⇔ 買主(不動産会社は介在しない) |
| 不動産会社の仲介 | 売主 ⇔ 不動産会社 ⇔ 買主 |
注意
「仲介がない=費用が一切かからない」というわけではありません。
仲介手数料は発生しなくなりますが、印紙税・登録免許税・司法書士報酬など、取引に伴う他の費用は個人間売買であっても発生します(詳しくは11章で解説します)。
「個人から不「個人から不動産を購入する」とは?動産を購入する」とは?
「個人から不動産を購入する」とは?
「個人から不動産を購入する」とは、個人が所有する土地・戸建て・マンションなどを、法人ではなく個人である買主が購入するケースを指します。
売主と買主の双方が個人であれば、不動産会社の仲介を利用せずに直接売買することもできますし、不動産会社に仲介を依頼して購入することも可能です。
補足
個人が自分の所有する不動産を一度売却するようなケースと、反復・継続して不動産の売買を事業として行うケースでは、法的な扱いが異なる場合があります。
本記事では、個人が所有する不動産を売主として、別の個人が買主となる一般的な個人間売買を前提に解説しています。
3. 個人間売買と不動産会社の仲介は何が違う?
両者の違いを一覧表で整理すると、次のようになります。
| 項目 | 個人間売買 | 不動産会社の仲介 |
| 売主・買主探し | 原則として自分で行う | 不動産会社がサポート |
| 価格交渉 | 当事者同士で行う | 仲介会社がサポート |
| 物件調査 | 自分で確認する | 仲介会社が調査・確認を行い、法定の重要事項を説明 |
| 権利関係の確認 | 自分で確認する | 仲介会社が確認をサポート |
| 法令上の制限 | 自分で確認する | 仲介会社が調査・確認し、法定の重要事項を説明 |
| 契約条件の整理 | 自分たちで行う | 仲介会社が調整 |
| 重要事項説明 | 宅建業者による法定の重要事項説明は行われない | 宅建業者による重要事項説明がある |
| 売買契約書 | 自分たちで準備・確認 | 仲介会社が準備・説明する場合がある |
| 住宅ローン | 自分で金融機関と調整 | サポートを受けられる場合がある |
| 決済・引渡し | 自分たちで調整 | 仲介会社が調整をサポート |
| 登記手続き | 司法書士等へ自分で依頼 | 司法書士等との調整をサポートする場合がある |
| 仲介手数料 | 仲介を利用しなければ発生しない | 発生する |
| トラブル発生時 | 当事者間で対応 | 仲介会社が関与できる場合がある |

※ 不動産会社の実際の業務範囲は、媒介契約の内容や依頼する不動産会社によって異なります。「不動産会社に頼めば何もかもすべて代行してもらえる」というものではない点にもご注意ください。
4. なぜ不動産会社を通さずに売買する人がいる?
個人間売買を選択する背景には、主に次のような事情があります。
- 仲介手数料を抑えたい
- 親族間で不動産を売買する
- 知人・友人同士で売買する
- 売主と買主がすでに決まっている
- 当事者同士で直接交渉したい
- 不動産会社を探す手間を省きたい
ポイント
仲介手数料がなくなることと、取引全体にかかる費用や手間がなくなることは別問題です。
仲介手数料の負担を避けられる一方で、物件調査や契約手続きにかかる時間・労力・リスクは、すべて当事者が引き受けることになります。
5. 個人間で不動産を売買する基本的な流れ
不動産会社を介さない場合の、大まかな取引の流れは次のとおりです。
STEP 1 売主と買主を決める
親族・知人間の取引や、すでに購入希望者が見つかっている場合が中心となります。
STEP 2 物件情報を確認する
所有者、土地・建物の面積、所在、地番・家屋番号、建築年月、接道状況、境界、法令上の制限などを確認します(詳細は6章)。
STEP 3 売買条件を決める
売買価格、手付金、残代金、引渡し日、固定資産税等の精算方法、契約不適合責任、付帯設備の扱い、住宅ローン利用の有無などを話し合って決めます。
STEP 4 売買契約を締結する
売買契約書を作成し、合意した条件に基づいて契約を締結します(詳細は9章)。
STEP 5 決済・引渡しを行う
残代金の支払いと物件の引渡しを行います。
固定資産税等については、売主・買主間で負担額を調整する場合、契約時に定めた方法に基づいて精算します。
STEP 6 所有権移転登記を行う
法務局に所有権移転登記を申請します。
自分で申請することも制度上は可能ですが、一般的には司法書士に依頼するケースが多く見られます。
※ 登記・供託オンライン申請システムでは、売買による所有権移転登記の申請にあたっての手引きが法務省から案内されています。手続きの詳細は法務局・司法書士へのご確認をおすすめします。
6. 個人間売買では「物件調査」が重要
不動産会社の仲介を利用しない場合、物件そのものの調査は当事者が自分たちで行う必要があります。
ここでは、最低限確認しておきたい項目を4つの分野に分けて整理します。
① 権利関係
- 登記事項証明書の内容
- 本当の所有者は誰か
- 抵当権など担保権の有無
- 差押え等の登記の有無
- 共有名義になっていないか
② 土地関係
- 公図の内容
- 地積測量図の有無
- 登記上の土地面積と実測面積の違い
- 隣地との境界
- 越境物の有無
- 道路への接道状況
③ 建物関係
- 建築確認関係の資料
- 検査済証の有無
- 建物の登記面積
- 増改築・未登記部分の有無
- 雨漏り・シロアリなどの不具合
- 給排水設備の状態
④ 法令関係
- 都市計画法上の区域区分
- 建築基準法上の接道義務
- 用途地域
- 建ぺい率・容積率
- 高度地区などの地域指定
- その他の条例・規制
| 調査項目 | なぜ確認するのか |
| 所有者 | 本当に売主が所有者本人なのかを確認するため |
| 抵当権 | 売却時に抹消できるかどうかを確認するため |
| 土地面積 | 登記上の面積と実際の状況に相違がないか確認するため |
| 境界 | 隣地とのトラブルを未然に防ぐため |
| 接道状況 | 将来の建築・再建築に影響するため |
| 用途地域 | 建築できる建物の種類・規模に影響するため |
| 建ぺい率・容積率 | 建物の規模の上限に影響するため |
| 建物の状態 | 購入後の修繕費用等に影響するため |
7. 個人間売買で注意したいポイント
実際に個人間売買を進めるうえで、特につまずきやすいポイントを整理しました。
契約前・契約後のそれぞれの段階で、次のような点を意識しておくと安心です。
| 注意ポイント | 具体的な内容 |
| 登記上の所有者と売主の一致 | 売主が「自分が所有者」と説明していても、登記事項証明書で実際の名義人と一致しているかを必ず確認します。 |
| 抵当権等の残債 | 住宅ローンなどの担保が残っている物件では、決済時に抹消できる見込みかどうかを事前に確認します。 |
| 境界の明確さ | 登記上の面積と実際の土地の状況は別問題です。境界標の有無や隣地所有者との認識の一致を確認します。 |
| 越境物の有無 | 屋根、ブロック塀、樹木、配管などが隣地との境界をまたいでいないかを確認します。 |
| 接道状況 | 道路に接していることと、必ず建築・再建築できることは同じではありません。 |
| 再建築の可否 | 特に古い戸建てや土地では、現行の基準で再建築できるかどうかの確認が重要です。 |
| 建築基準法・都市計画法上の制限 | 用途地域、建ぺい率、容積率など、計画している用途に制限がないか確認します。 |
| 未登記部分の有無 | 増築部分が未登記のまま残っていないかを確認します。 |
| 雨漏り・シロアリ等の不具合 | 売主からの説明だけに頼らず、可能な範囲で現地確認を行います。 |
| 契約不適合責任の扱い | 引渡し後に契約内容と異なる状態が見つかった場合、売主がどこまで責任を負うのかを契約書で明確にします。 |
| 固定資産税等の精算 | 売主・買主間で負担額を調整する場合の精算方法を契約時に確認します。 |
| 手付金・違約金 | 金額だけでなく、どのような場合に契約を解除できるのかも確認します。 |
| 住宅ローン特約 | ローンを利用する場合、審査が通らなかったときの契約解除条件を定めておきます。 |
| 引渡し条件 | 残置物の扱い、設備の状態、鍵の本数、修繕範囲などを事前に取り決めます。 |
| 所有権移転登記 | 誰が司法書士を手配し、費用を誰がどの割合で負担するかを事前に確認します。 |

8. 個人間売買では「重要事項説明」はどうなる?
そもそも「重要事項説明」とは
重要事項説明とは、不動産を購入・賃借する前に、その物件や取引条件に関する重要な事項について、宅地建物取引業者(宅建業者)が説明を行う制度です。
国土交通省は、宅建業者に対して、契約が成立するまでの間に重要事項を説明し、書面(重要事項説明書)を交付することを義務付けています。
この制度の目的は、買主・借主が権利関係や取引条件を十分に理解したうえで契約できるようにし、後のトラブルを防止することにあります。
個人間売買の場合
不動産会社が宅建業者として仲介に入る取引では、宅建業法に基づく重要事項説明が行われます。
一方、不動産会社が仲介に入らない個人間売買では、宅建業者による法定の重要事項説明を受ける仕組みはありません。
ただし、重要事項説明がないからといって、物件や契約条件の確認が不要になるわけではありません。
むしろ個人間売買では、買主自身が必要な情報を確認することが重要です。
だからこそ
個人間売買では、宅建業者による法定の重要事項説明がないため、登記内容、法令上の制限、境界、接道状況、建物の状態など、購入判断に必要な情報を当事者自身で確認することが重要です。
9. 個人間売買でも売買契約書は必要?
個人間売買では、契約条件を書面に残しておくことが重要です。
売買価格や引渡し日、契約不適合責任、契約解除の条件などを明確にすることで、「言った・言わない」といったトラブルを防ぎやすくなります。
契約書に記載しておきたい主な事項は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
| 売買対象 | 土地・建物の所在地、地番・家屋番号など |
| 売買代金 | いくらで売買するか |
| 手付金 | 金額・支払時期 |
| 残代金 | 支払時期 |
| 引渡し | いつ・どのような状態で引き渡すか |
| 所有権移転 | 時期・方法 |
| 公租公課 | 固定資産税等の精算方法 |
| 契約解除 | 解除できる条件 |
| 違約金 | 契約違反時の取り扱い |
| 契約不適合責任 | 売主が負う責任の範囲 |
| ローン特約 | 融資が受けられなかった場合の扱い |
| 境界・越境 | 境界の確認状況、越境物への対応 |
| 付帯設備 | エアコンなど設備の取り扱い |
10. 個人間売買でも住宅ローンは利用できる?
結論
個人間売買だからといって、住宅ローンを必ず利用できないというわけではありません。
ただし、次のような点は金融機関によって取り扱いが異なるため、事前の確認が欠かせません。
- 金融機関ごとの取り扱いの違い
- 売買契約書等の提出が必要になる場合がある
- 物件の担保評価
- 権利関係の確認
- 契約内容の確認
- 決済方法の調整
特に注意したい点
住宅ローンの事前審査・本審査の結果が出る前に売買契約を結んでしまうと、ローンが承認されなかった場合に契約解除や違約金のトラブルにつながるおそれがあります。
ローン特約の内容をあらかじめ明確にしておくことが重要です。
11. 個人間売買なら仲介手数料はかからない?
結論
不動産会社に仲介を依頼しなければ、仲介会社への仲介手数料は発生しません。
なお、不動産会社に仲介を依頼する場合、仲介手数料には宅建業法に基づく上限があります。
仲介手数料が0円になることと、取引にかかる費用全体が0円になることはイコールではない点にもご注意ください。
個人間売買であっても、次のような費用が発生する可能性があります。
| 費用の種類 | 主な内容 |
| 印紙税 | 売買契約書に課税される場合があります |
| 登録免許税 | 所有権移転登記の際に必要です |
| 司法書士報酬 | 登記手続きを依頼する場合に発生します |
| 不動産取得税 | 取得後、買主側に課税される場合があります |
| 固定資産税等の精算金 | 売主・買主間で負担額を調整するため、契約時に精算方法を取り決めることがあります |
| 住宅ローン関連費用 | 融資を利用する場合の事務手数料・保証料等 |
| 測量費 | 境界確認等を行う場合に発生します |
| 建物調査費(インスペクション費用) | 建物状況調査を専門家に依頼する場合に発生します |
2026年時点の制度に関する補足
不動産の譲渡に関する契約書(記載金額10万円超)については、2027年3月31日までに作成されるものを対象に、印紙税の軽減措置が適用されています。
また、土地の売買による所有権移転登記の登録免許税についても、令和8年度税制改正により軽減措置の適用期限が2029年3月31日まで延長されています。
いずれも記載金額や取得時期などの要件によって扱いが異なるため、実際の適用可否は国税庁・法務局等の最新情報でご確認ください。
12. 個人間売買のメリット・デメリット
メリット
| メリット | 内容 |
| 仲介手数料を抑えられる | 不動産会社の仲介を利用しないため |
| 直接交渉ができる | 売主・買主が直接話し合える |
| 条件を柔軟に決めやすい | 当事者間で自由に調整できる |
| 相手がすでに決まっている場合に進めやすい | 親族・知人間の取引など |
デメリット
| デメリット | 内容 |
| 調査の負担が大きい | 物件・権利関係・法令を自分で確認する必要がある |
| 契約整理の負担 | 契約条件を自分たちで整理しなければならない |
| 専門知識が必要 | 法律・不動産に関する知識が求められる |
| トラブル対応 | 基本的に当事者間で対応することになる |
| ローン手続きの負担 | 金融機関との調整を自分で行う必要がある |
| 登記手続きの負担 | 司法書士等との調整を自分で行う必要がある |

13. 仲介手数料を払う=何にお金を払っているのか?
「仲介手数料が高い/安い」という金額だけの話ではなく、その費用と引き換えにどのような業務やサポートを受けられるのかを理解しておくことが大切です。
一般的な不動産売買の仲介では、次のような業務・サポートが行われます。
- 物件調査
- 権利関係の確認
- 法令上の制限の調査
- 売買条件の調整
- 価格交渉のサポート
- 契約書類の準備
- 重要事項説明
- 決済・引渡しの調整
- 関係者(金融機関・司法書士など)との連絡調整
※ 実際の業務範囲は、依頼する不動産会社や媒介契約の内容によって異なります。
14. 個人間売買で実際に起こりやすいトラブル
ケース1:登記上の所有者が違った
売主として交渉していた人物が、実は登記上の所有者ではなかった。
売却する権限があるのかどうかを、事前に登記事項証明書で確認することが重要です。
ケース2:購入後に越境が判明
引渡し後に、隣地の塀や配管が境界を越えていることが発覚。
事前に境界・越境の確認を行っておくことで防げる可能性があります。
ケース3:再建築できない土地だった
建物が建っていた土地でも、現行の基準では再建築できないケースがあります。
「家が建っている=建て替えできる」とは限りません。
ケース4:雨漏りが発覚
引渡し後に雨漏りが見つかり、契約不適合責任や告知内容をめぐって当事者間の認識が食い違うケース。契約書での取り決めが重要になります。
ケース5:住宅ローンが通らなかった
契約後に融資審査が通らず、契約解除や違約金をめぐってトラブルになるケース。
ローン特約の内容が重要です。
それぞれのケースで「契約前に何を確認しておけばよかったか」を整理すると、次のようになります。
| トラブル | 契約前に確認しておきたいこと |
| 越境 | 境界・越境物の有無を確認する |
| 再建築不可 | 接道状況・法令上の制限を確認する |
| 雨漏り | 建物の状態・売主からの告知内容を確認する |
| ローン否決 | 事前審査の結果・ローン特約の内容を確認する |
15. 個人間売買を検討しやすいケース・専門家への相談を検討したほうがよいケース
個人間売買を検討しやすいケース
以下に当てはまる場合でも、個人間売買に特有の確認・契約上の注意点がなくなるわけではありません。
あくまで、比較的取り組みやすい傾向にあるケースとしてご参考ください。
- 売主と買主がすでに決まっている
- 親族・知人間の取引である
- 権利関係が明確である
- 境界が明確である
- 建物・土地の状態を十分に把握している
- 現金での購入である
- 双方が契約内容を十分に理解している
専門家への相談を検討したほうがよいケース
- 境界が不明確である
- 越境がある
- 再建築できるかどうかが不明である
- 抵当権が残っている
- 相続した不動産である
- 共有名義になっている
- 借地権・底地権が関係する
- 親族間売買である(売買価格の設定によっては贈与税など税務上の問題が生じる可能性があるため)
- 住宅ローンを利用する
- 未登記の増築部分がある
- 契約不適合責任の設定をどうすればよいかわからない

相談先の例
不動産会社だけでなく、境界の問題は土地家屋調査士、登記手続きは司法書士、税金は税理士、契約内容や権利関係で不安がある場合は弁護士など、内容に応じて専門家への相談を検討するとよいでしょう。
16. 個人間売買と不動産会社の仲介、どちらを検討する?
「どちらが正解」ということではなく、ご自身が何を重視するかによって判断軸は変わります。
| 重視すること | 検討ポイント |
| 仲介手数料を抑えたい | 個人間売買という方法も選択肢になります |
| 自分で調査できる時間・知識がある | 個人間売買を検討しやすくなります |
| 専門的な調査を任せたい | 不動産会社への依頼を検討します |
| 住宅ローンを利用する | 金融機関との事前確認が重要になります |
| 権利関係が複雑 | 専門家への相談を検討します |
| 境界が不明 | 土地家屋調査士等への相談も検討します |
| 契約条件の整理が難しい | 不動産会社・専門家への相談を検討します |
17. 契約前チェックリスト
個人間売買を進めるにあたって、契約前に確認しておきたい項目をリストにまとめました。
☐ 登記上の所有者を確認した
☐ 抵当権等を確認した
☐ 土地面積(登記上・実測)を確認した
☐ 境界を確認した
☐ 越境の有無を確認した
☐ 接道状況を確認した
☐ 再建築の可否を確認した
☐ 用途地域を確認した
☐ 建ぺい率・容積率を確認した
☐ 建物の状態を確認した
☐ 未登記部分の有無を確認した
☐ 売買価格を決めた
☐ 手付金の金額・時期を決めた
☐ 引渡し日を決めた
☐ 契約不適合責任の扱いを確認した
☐ ローン特約を確認した
☐ 固定資産税等の精算方法を決めた
☐ 登記手続きの進め方を確認した
18. よくある質問(FAQ)
Q. 個人間で不動産売買はできますか?
A. 可能です。ただし、仲介を利用しない場合は、当事者自身で物件調査・契約・登記などの多くの手続きを行う必要があります。
Q. 個人から土地を買うことはできますか?
A. 可能です。権利関係、境界、接道状況、法令上の制限などを事前にしっかり確認することが重要です。
Q. 個人から家を買うことはできますか?
A. 可能です。建物の状態、登記内容、契約条件などをあわせて確認する必要があります。
Q. 個人間売買なら仲介手数料は無料ですか?
A. 不動産会社の仲介を利用しなければ、仲介手数料は発生しません。ただし、印紙税や登記費用など他の費用は発生します。
Q. 個人間売買でも住宅ローンは使えますか?
A. 利用できる場合がありますが、金融機関によって取り扱いが異なるため、事前の確認が必要です。
Q. 個人間売買でも契約書は必要ですか?
A. 個人間売買では、契約条件を書面に残しておくことが重要です。売買価格や引渡し日、契約不適合責任、契約解除の条件などを明確にすることで、後のトラブルを防ぎやすくなります。契約書の作成方法には、当事者が作成する方法のほか、司法書士や弁護士などの専門家に相談する方法もあります。
Q. 個人間売買でも登記は必要ですか?
A. 不動産を売買した場合は、所有権移転登記を行うのが一般的です。登記手続きは自分で申請することもできますが、必要書類が多いため、司法書士に依頼するケースもあります。
Q. 個人間売買では重要事項説明を受けられますか?
A. 宅建業者が仲介する取引とは異なり、宅建業者による法定の重要事項説明を受ける仕組みはありません。
Q. 個人間売買なら税金はかかりませんか?
A. 仲介手数料は発生しませんが、買主には印紙税・登録免許税・不動産取得税など、売主には譲渡所得に対する税金など、取引の内容に応じて税金が発生する可能性があります。
Q. 個人間売買は安くできますか?
A. 仲介手数料を抑えられる可能性はありますが、測量費、登記費用、専門家への報酬など別の費用が発生する場合もあるため、取引全体の費用で考えることが大切です。
19. まとめ
① 個人間で不動産を売買すること自体は可能です。
② ただし、不動産会社を介さない場合は、物件調査・契約・登記などの確認や手続きの負担が大きくなります。
③ 仲介手数料の有無だけでなく、調査・契約・登記・住宅ローンなど、取引全体を通じた費用と手間を踏まえて検討することが重要です。
④「仲介手数料を節約できるか」だけでなく、「自分でどこまで確認・対応できるか」を考えることが重要です。
個人間での不動産売買を検討しているものの、「何を確認すればよいのかわからない」「契約条件に不安がある」という場合は、契約前に不動産会社や必要な専門家へ相談しておくと安心です。
※ 本記事の内容は2026年9月時点の情報にもとづいています。税制・法令等は改正される場合がありますので、実際のお手続きの際は国税庁・法務局・国土交通省等の最新情報、または専門家に個別にご確認ください。