こんにちは、部長の宮島です。
最近、全国各地で大雨による浸水や河川の増水などがニュースになることが増えています。
不動産仲介の仕事をしていると、こうした災害が起きた後に気になるのが、
「これって不動産価格にも影響するの?」
ということです。
結論からいうと、影響する可能性はあります。
ただし、
「洪水が起きたエリアだから一律で不動産価格が下がる」
というほど単純な話ではありません。
不動産価格は、駅距離、土地形状、建物、周辺環境、需給、金利など、非常に多くの要素で決まるからです。
では、具体的に何が変わる可能性があるのでしょうか。
まず変わる可能性があるのは「購入者の見るポイント」
最近の事例として、2026年8月13日に千葉県で大雨が発生した前後を比較すると、LIFULL HOME’S上でハザードマップを閲覧したユーザー数が、千葉県内の物件で34.3%増加しました。
東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県でも19.5%増加しています。
これはかなり興味深い数字です。
もちろん、このデータだけで「大雨が原因で閲覧数が増えた」と因果関係まで断定することはできません。
ただ、実際に大雨が発生した後に、住宅を探している人がハザード情報を見る機会が増えたという事実はあります。
つまり、
災害が起きる
↓
自分が住んでいる・検討している地域は大丈夫なのか気になる
↓
ハザードマップを見る
↓
物件選びの判断材料になる
という流れは十分に考えられます。
「過去に浸水した」という情報は残る
もう一つ重要なのが、災害履歴です。
ハザードマップは「将来どこが浸水する可能性があるか」という想定情報ですが、実際に浸水被害が発生した場合、それは過去の災害履歴として残ります。
国土交通省も不動産情報ライブラリで「災害履歴」の掲載を進めており、水害・土砂災害・地震災害などの過去の災害情報を地図上で確認できるようにしています。
ここは今後、不動産売買でさらに重要になってくる可能性があります。
購入者から、
「この土地は過去に浸水したことがありますか?」
と聞かれたときに、ハザードマップだけを見て答えるのではなく、過去の災害履歴や行政の情報なども確認する必要が出てくるからです。
では、価格は下がるのか?
ここが一番難しいところです。
例えば、同じ駅徒歩10分の土地が2つあったとして、
A:ハザード上の浸水リスクが低い
B:浸水想定区域に入っている
という場合。
他の条件が全く同じなら、購入者によってはAを選ぶ可能性があります。
しかし、実際の不動産はそんなに単純ではありません。
Bの物件が500万円安ければ、Bを選ぶ人もいるでしょう。
逆に、Bの物件が駅距離や土地の大きさなど別の部分で圧倒的に優れていれば、購入希望者が付くこともあります。
つまり、水害リスクは、
「価格を決める唯一の要素」ではなく、「購入者が価格を判断するときの一つの材料」
になっていく可能性があります。
売却するときに重要になる「説明できるか」
個人的には、価格そのもの以上に、
「そのリスクについて、きちんと説明できる物件か」
という点が重要になってくると思います。
例えば、
・過去に浸水履歴がある
・ハザードマップ上で浸水想定区域に入っている
・地下設備がある
・過去に修繕を行っている
という情報があったとしても、それを把握したうえで購入する人はいます。
問題なのは、売却時になって初めて、
「そういえば昔、床下まで水が入ったことがあります」
となるケースです。
買主からすれば、後から出てくる情報ほど不安になります。
逆に、
「過去にこの程度の浸水があり、その後こういう修繕を行いました」
と整理されていれば、購入判断もしやすくなります。
これからの不動産選びでは「災害後」を考える
大雨や洪水が発生すると、その瞬間だけニュースになります。
しかし、不動産の場合は、その後も影響が残る可能性があります。
・購入者がハザードをより気にする
・売却時の確認事項が増える
・災害履歴が記録される
・物件ごとのリスク比較が細かくなる
こうした変化は、今後の不動産売買にも影響してくる可能性があります。
だからこそ、物件を購入するときには、
「今、この家が良いか」
だけではなく、
「10年後にこの家を売るとき、次の買主は何を気にするだろう?」
という視点も持っておくといいと思います。
不動産の価値は、建物の綺麗さや駅距離だけで決まるものではありません。
その土地が持っているリスク、それに対する対策、そして購入者がどう受け止めるか。
これらも含めて、少しずつ「不動産の価値」が決まっていきます。
最近の大雨をきっかけに、これまでハザードマップを見ていなかった人が確認するようになれば、今後はますます「災害リスクを調べてから家を買う」という流れが一般的になっていくかもしれません。