① 時価との乖離(相場より安い売買)
■ 問題点:
親族間では「安くしてあげたい」「名義だけ移したい」という理由で、時価よりも著しく低い価格で売買するケースが多く見られます。しかしこの場合、税務署から「実質的には贈与である」と認定され、贈与税の課税対象となるリスクがあります。
■ 対策:
必ず時価での売買を行う。
「時価」は個人では判断が難しいため、次のいずれかで確認する:
不動産鑑定士による鑑定評価(精度が高く、税務署への説明にも有効)
不動産会社による査定書
国税庁の「路線価」や「固定資産評価額」を参考にする
不動産鑑定士による評価は信頼性・証明力が高く、特に税務上のトラブル回避に有効です。
② 贈与とみなされるリスク(贈与税・所得税)
■ 問題点:
売買契約の形式を取っていても、売買価格が適正でなければ、「贈与」とみなされ、贈与税が課されることがあります。
また、売却益が出る場合、譲渡所得税(不動産の売主が利益を得た場合にかかる所得税・住民税)も課税される可能性があります。
■ 対策:
売買契約書に売買の事実・意思があることを明記。
売買価格が時価と著しく異なる場合は、税務署から指摘される可能性があるため、第三者の評価を添付(例:不動産鑑定評価書)。
必要に応じて税理士に相談し、贈与税や譲渡所得税の申告が必要か確認する。
③ 契約書の不備・証拠の欠如
■ 問題点:
親族間での売買では、信頼関係を前提に契約書を簡素化したり、省略してしまうことがありますが、これは非常に危険です。後々のトラブルや税務調査時に証拠不十分とされることがあります。
■ 対策:
売買契約書は、不動産会社に依頼することをお勧めします。
契約書には以下のような内容を記載する:
物件の所在地・構造・面積
売買価格とその算定根拠
代金支払い方法(振込口座、日付)
所有権移転日
瑕疵担保責任の有無
固定資産税の精算方法 など
④ 所有権移転登記の手続き
■ 問題点:
不動産の名義変更(登記)を怠ると、法的には所有者とは認められません。親族間での非公式な取引は、後にトラブルとなり得ます。
■ 対策:
売買契約締結後、司法書士に依頼して登記手続きを行う。
登記には以下の書類が必要:
売買契約書
登記原因証明情報
登記識別情報(権利証)
印鑑証明書(売主)
固定資産評価証明書
登録免許税
⑤ 金銭授受の記録を残すこと
■ 問題点:
代金の授受が曖昧な場合、税務署から「名義変更目的の贈与ではないか」と疑われる可能性があります。
■ 対策:
売買代金の授受は必ず銀行振込で行うこと。
通帳のコピーや振込明細など、証拠として保管する。
⑥ 金融機関の住宅ローン審査が厳しい
■ 問題点:
金融機関は、親族間売買を通常の取引よりも厳しく審査する傾向があります。特に「価格が適正か」「本当に居住目的か」などを重点的にチェックされます。
■ 対策:
融資を検討している場合は、事前に金融機関に相談する。
時価評価の根拠(不動産鑑定書など)を提出できるよう準備。
売買契約書の内容が適切であることも審査通過の要件になります。
⑦ 相続対策としての売買におけるトラブル
■ 問題点:
一部の親族だけに不動産を安価で売却すると、他の相続人から「不公平だ」として、遺留分侵害額請求などのトラブルになるケースがあります。
■ 対策:
家族全体で事前に説明・合意を得ておく。
売買価格が妥当である根拠(不動産鑑定評価書など)を示す。
必要に応じて公正証書遺言を作成して、将来の紛争を防ぐ。
親族間売買の進め方(ステップ形式)
| ステップ | 内容 | 専門家の関与 |
|---|---|---|
| ① | 価格決定 | 不動産鑑定士または不動産会社で時価評価を取得 / 不動産鑑定士、不動産会社 |
| ② | 契約書作成 | 書面で詳細な売買契約書を作成 / 不動産会社に依頼 |
| ③ | 代金の授受 | 銀行振込などで確実に記録を残す |
| ④ | 登記手続き | 所有権移転登記を行う |
| ⑤ | 税務確認 | 譲渡所得税・贈与税・登録免許税などを確認 |
【アクティブホームのトータルサポート】
アクティブホームでは、親族間売買というデリケートで複雑な手続きを安心・確実に進めていただけるよう、以下のような専門家ネットワークと連携し、ワンストップでサポートいたします:
• ✅ 不動産鑑定士と連携し、税務上適正な売買価格のアドバイス
• ✅ 税理士と協力し、贈与税・譲渡税・相続税などの税務リスクを最小化
• ✅ 弁護士が法務的なリスクのチェックと相続対策の助言
• ✅ 司法書士が確実な名義変更や登記を実施
• ✅ 宅建士が法律に準拠した売買契約書を作成・重要事項説明を実施
【まとめ】
親族間の不動産売買は、「信頼関係があるからこそ」慎重に進めるべき取引です。
形式を省略してしまうと、後々の税務・法務・相続で大きな問題に発展する可能性があります。
アクティブホームでは、各種専門家との強固なネットワークを活かし、お客様のご事情に寄り添った最適なご提案を行います。どうぞ安心してご相談ください。